タワーマンションで民泊営業する問題点は?ゲストルームで民泊はNGな理由
数年前まで、タワーマンションでの民泊ビジネスに注目が集まっていました。
民泊が流行した背景には、外国人観光客(インバウンド)の増加により、観光客が泊まる宿泊施設の不足が問題になったことがあげられます。
中でもタワーマンションは、一流の眺望・ホテル並の設備が揃っていることから、民泊物件として観光客から大人気に。
そのためタワーマンションを居住用ではなく、民泊用の不動産投資物件として購入するケースも増えました。
しかし民泊ビジネスは儲かる投資として人気が出る一方、騒音・文化の違い・マナーといった部分で、同じタワーマンションの住民とトラブルが頻発する問題も。
2017年6月には、民泊事業に行政許可を必要とするなど、新たなルールを定めた民泊新法(住宅宿泊事業法)が成立しました。
新型コロナの影響で外国人旅行客からの需要は激減したとはいえ、タワーマンションへの宿泊ニーズは国内にもあります。
■タワーマンションで民泊業を営むメリットやデメリットは?
■タワーマンションんで民泊をする問題点とは?
ここではタワーマンションでの民泊ビジネスに興味がある人のために、最近の民泊事情について書いてみたいと思います。
そもそも民泊って?
古くは人の善意で、赤の他人である観光客を無償で家に宿泊させることから始まりました。
そして転換期として2008年にairbnbをはじめとした、ネット上で自宅の一室を有料で人に貸したい側と部屋を借りたい観光客を結びつけるサービス(民泊)が生まれたことで徐々に世界的に知られるようになりました。
日本では地方に行くと空き家が多い現状と、ホテルではなくて日本の一般的な民家に泊まりたいと考えている外国人観光客とのwin-winな関係もさることながら、急増する訪日外国人に対して宿泊するホテルが不足している問題が解決すると、ここ数年で民泊が注目を集めています。
民泊解禁により誰でも民泊ビジネスができるように
2017年6月9に民泊新法が制定されたことにより、ルールを守ればだれでも民泊ビジネスが始められる土壌が出来ました。
観光庁によると来年2018年の6月に施行する方針となっています。
民泊新法の具体的な詳しい内容はここでは避けますが、概要だけまとめます。
民泊新法の概要
・民泊の形式が『家主不在型』と『家主居住型』に分かれること
・事業者が都道府県知事に届出をおこなう
・営業日数上限が180日だということ。
・宿泊者名簿を作らなくてはいけない
・外国人観光客に不便をかけないよう、住宅内の説明や、周辺の交通手段の説明をしなくてはいけない。勿論外国語で。
・宿泊者に対して、近隣に迷惑かけないよう配慮しなくてはいけない。勿論外国人観光客に対しても外国語で注意を促さなくてはいません
・苦情受付者が必要
・宿泊名簿の作成。宿泊者の名前・住所・職業等を書いてもらう必要があります。
タワーマンションで民泊をするメリット・デメリット
タワーマンションで民泊をするメリットは、なんといっても
○観光客に人気が出やすい
ことです。
タワーマンションは、眺望・共有施設・エントランスなど、ホテルのような豪華さが魅力。
民泊とはやや異なりますが、2021年に開催された東京オリンピック2020では、東京都中央区晴海地区のタワーマンション街が選手村として提供されました。
選手村のタワーマンションからの絶景や室内の美しさは、諸外国のオリンピック選手たちがSNSなどで絶賛し、話題になりました。
またタワーマンションは駅近など立地もよく、民泊を始めれば宿泊客に人気が出るのは間違いありません。
一方、タワーマンションで民泊をするデメリットは
× 民泊は営業日数に制限(180日以内)があり、稼働率が低く儲かりにくい
× タワーマンションの取得コストが高い
× タワーマンション近隣住民と、民泊利用者との問題が起きやすい
といったことがあります。
タワーマンションでの民泊は、宿泊客にとっては魅力な反面、民泊運営者にとってはデメリットも多いのです。
タワーマンションでの民泊ビジネス問題点
タワーマンションでの民泊ビジネスは、問題が多いのも事実です。
ここからは、タワーマンションで民泊を行う際に注意したい問題点をご紹介します。
タワーマンションで民泊ビジネスは儲からない問題
今回の民泊新法で注目すべきポイントは営業日数180日が上限となったこと。
年間で言えば50%稼働率にしかなりませんので、安定した収益に結ぶのは難しいかもしれません。
しかし180日過ぎたあたりが勝負とも言えます。
例えば180日間は民泊新法に基づく運用をして、180日以降はマンスリーマンションとして運営するというアイディアがあります。
すでに民泊と180日以降の短期賃貸との併用を意味する二毛作民泊という言葉が生まれているほどです。
二毛作民泊をサポートしてくれる企業もでてきているので気になった方は調べてみるのもいいかもしれません。
また民泊は、一般のホテルや旅館等より宿泊料が安いのも人気の秘密です。
しかしタワーマンションの1室を購入または賃貸で取得するには、高額な分譲価格や家賃が必要。
タワーマンションでの民泊は初期費用が高い一方、宿泊料はあまり高く設定できないため、コストを回収しにくいというリスクもあります。
タワーマンション内で民泊トラブルが頻発する問題
外国人観光客に近隣迷惑にならないよう注意しても、必ず聞いてくれるとは限りません。
マナーを守れない人が少なからずいることは世界共通。
実際にAirbnbを利用した外国人観光客とホスト、近隣住民の間でトラブルも多数起こっています。
タワーマンションには社会的地位が高く、落ち着いた暮らしを望む人も多く住んでいます。
タワーマンションは、騒音やマナー違反といったクレーム問題が、他の民泊物件より起こりやすいと言えるでしょう。
民泊禁止のタワーマンションが多い問題
実は住民とのトラブルが多い事から、管理規約のなかで民泊を禁止しているタワーマンションも少なくありません。
例えば東京のタワーマンションでは、ブリリア有明マーレや、シティタワー豊洲 ザ・ツインなどが、民泊を禁止しています。
シティタワー豊洲は、タワーマンション内の無断民泊営業を取り締まるため、違法民泊パトロールの「民泊ポリス」サービスを導入したことでも話題になりました。
タワーマンション管理組合が民泊を禁止する理由としては、
・穏やかな生活が守られない
・セキュリティの問題
・管理費が、住民ではなく民泊利用者に使用される問題
・居住用マンションと、宿泊用ホテルの構造上の違いの問題
などが挙げられています。
(※2016年 管理組合法人ブリリアマーレ有明Tower&Garden「民泊禁止について管理規約改正への経緯」より)
民泊をしていないことを売りにしているタワーマンションもあるくらいです。
もちろん、タワーマンションのゲストルームなどの共用設備を民泊利用するのもNGです。
タワーマンションのゲストルームは、宿泊を想定した共有施設なので、民泊利用にぴったりのように思えますよね。
またジムやプールやジャグジー、スカイテラスにラウンジなど、タワーマンションには民泊利用者から喜ばれそうな共用設備も多く存在します。
タワーマンションの共用設備の多くは、管理費を払っているタワーマンションオーナーとそのゲストが利用できるため、民泊ゲストが利用しても規約上は問題がないようにも思えます。
しかしタワーマンションの共用設備は、タワーマンション住人が共同で利用することを想定して運営されているもの。
民泊オーナー個人の営利目的で使用するための施設ではありません。
実際にタワーマンションの中には、共用設備の民泊利用を禁止する記載も増えていますので注意しましょう。
タワーマンションの民泊ビジネスで稼ぐなら東京大田区・大阪エリアがおすすめ?
タワーマンションでの民泊ビジネスで稼ぐなら、特区民泊の存在を忘れてはいけません。
特区民泊とは国家戦略特別区域内で営業できる民泊を指します。
厳しい条件をクリアしなくては営業ができない旅館業法とも違い、民泊営業を始めるハードルは低いです。
その点では民泊新法と一緒ではあるのですが、違いは営業上限日数が違います。
民泊新法では営業上限日数が180日であることに対し、特区民泊では制限がありません。
宿泊日数制限が2泊以上であること(東京大田区では6泊以上、今後短縮される可能性もある)が条件ではあるものの、これは大きなメリットと言えます。
特区民泊が認められている東京都大田区と大阪エリア(一部地域)では、民泊新法か特区民泊のどちらかのルールを選ぶことができるのです。
まとめ
総合的に見ると、タワーマンションの1室を利用した民泊営業はあまりお勧めできません。
そもそも管理規約で民泊を禁止しているタワーマンションも多いですし、管理組合を挙げて違法民泊の取り締まりを強化している事実もあります。
仮に管理規約で民泊禁止していないタワーマンションでも、民泊営業を近隣住民から快く思われないことは確か。
タワーマンション管理規約の変更で民泊禁止となり、民泊営業ができなくなる可能性もあります。
もしタワーマンションで民泊を始める場合は、管理規約をよく確認することや、騒音・マナーといった問題が起こらないよう十分留意する必要があります。
また民泊で、外国人とのちょっとした交流ができて、ちょっとしたお金稼ぎがしたいなら充分かと思いますが。
タワーマンションでの民泊ビジネスで本格的に稼ぐとなると、180日間の営業制限の後の営業形態も考えた、二毛作民泊のような対策が必要であることは間違いありません。